驚異の感染力で世界的有名レストランも瞬殺 食中毒微生物界の2強ノロウィルスとカンピロバクター 2015/4/11
問われる衛生管理システムの再構築 ノロウィルス 以前紹介したローストチキンで有名な英国の 「ザ・ファットダック」 でも何度か食中毒が起きている。 厳しく衛生管理をしているはずの世界トップクラスのレストランで、どうして食中毒が起きるのかを改めて検証したうえでの対策を講じなくてはならない。 食中毒は、
微生物による食中毒 化学性食中毒 自然毒食中毒 の3つに大別されます。 その中でも近年食中毒発生原因の1位と2位がノロウィルスとカンピロバクターの2大微生物でノロウィルスとカンピロバクターによる食中毒件数がとても多い。 ノロウィルス | カンピロバクター | ノロウィルスとインフルエンザウィルス大きさ同倍率比較 | | | |
細菌が増殖しやすい夏にはカンピロバクターによる食中毒件数が増え、空気が乾燥してウィルスの活動が活発になる冬にはノロウィルスによる食中毒件数が増える。 最近5年間の東京都の主な食中毒発生件数の推移 | 資料:東京都食品衛生協会 |
平成23年に東京都で発生した食中毒の月別件数 | 資料:東京都食品衛生協会 |
ノロウィルスによる食中毒は生カキが原因とされていましたが、解明が進み最近では製造担当者や調理担当者の手指から汚染して食中毒を起こす事例が多いことが分かっている。 ノロウィルスは元々人の小腸にいるウィルスでカキの汚染経路は、人の便>下水>植物性プランクトン>カキという経路で、汚染したカキを食べて中毒が起きる。 ノロウィルスによる食中毒が非常に多い原因は感染力で、感染者の便1g中に10億個のノロウィルスがいるとされる。ノロウィルスが10~100個あれば人から人へ感染するた1gの便で100万人に感染する計算になる。 ノーマやファットダックでの食中毒もノロウィルスによるものでした。ノロウィルスの場合、感染と食中毒の割8:2といわれていて圧倒的に感染が多い。 こうした微生物に対する衛生管理システムの再構築が必要になる。
⚪調理人以外のフロアスタッフや納品業者を調理場に出入りさせない。 ⚪調理場スタッフの手洗い方法・回数を定めて反復教育する。 ⚪衛生責任者は毎日スタッフの体調をチェックして下痢など少しでも体調不良があるスタッフは休ませる。 ⚪調理場スタッフ専用トイレを設置する。 ⚪手洗い場の給湯設備を整備する。 ⚪蛇口は自動給水にする。 どれかが不備な店は、いつ食中毒が起きても不思議ではありません。食中毒を起こした有名レストランも、こうした衛生管理体制に明らかな問題があったはずだ。 前述のとおりノロウィルスは感染が80%であり店のフタッフの1人が症状のない健康保菌者であった場合、瞬く間に調理場スタッフ全員がノロウィルスに感染し、その手指で調理すれば料理が汚染され食中毒が起こる。 トイレを客と共用している場合、客の一人が感染していれば、瞬く間にスタッフを含めた店内にいる人のほとんどがノロウィルスに感染する。 たとえ料理が一流でも食中毒に関する知識が曖昧であれば、どのようにして食中毒が起きたのかさっぱり分からないということになる。 凄まじい感染力を防ぐためには衛生管理システムの見直し改良が必要だということになる。衛生管理が旧態依然としたお店は食中毒が起きないほうが不思議だということを自覚しなければならない。 カンピロバクター(細菌) 牛・豚・鶏などの腸管内にいる酸素3~15%の微好気性の細菌でスーパーなど市販50~60%に付着しているとされている。 ノロウィルスと同じで、僅か100個の細菌数でも発症するので食中毒発生件数が多くなる。 食中毒発生原因のほとんどは食肉、特に生または加熱不足の鶏肉・牛レバ・その他内蔵が原因。 更に牛の肝臓内部から腸管出血性O157が検出されたため平成24年7月1日から牛レバーを生食用として販売・提供するのが禁止された。 カンピロバクターは常温で徐々に死滅するが、留意すべきは新鮮な肉ほど危険だということである。新鮮だからという理由で牛刺しや鶏刺しなどの生肉を食べるのは自殺行為である。 食中毒の知識が無い店で 「肉が新鮮だから刺身で食べれます」 というのは、いかに間違ったことかを理解しなければならない。 事業者は万一に備えて食品衛生責任者を配置して店員に対する衛生教育と自主検査を徹底し食品衛生情報に関する記録を詳細に作成保存することが必須事項になる。 店の手洗い場やトイレには、店の衛生管理レベルが表れる。 手洗い場の蛇口が自動給水(冬は温水)でなかったりトイレの出入扉が自動開閉でないお店は要注意。手を洗ってもドアノブを触ったら簡単に感染する。 衛生管理知識のある店は手洗い場に消毒用エタノールを常備している。 手が濡れていると効果が出ないので、エタノールは手の表面の水分をしっかりとってから使用する。 そういう注意事項を客やスタッフが一目で分かるように掲示すべきである。 飲食店にとって、年々耐性を増す微生物に備える衛生管理システムの検証更新は必須となっている。 Kamisiro |