今どきの雑貨屋さん NewMiscella
「文房具(ぶんぼうぐ)」は「貧乏具(びんぼうぐ)」などと揶揄されるほど採算性が悪いといわれている文具業界の国内市場は主要文具だけだと1300億円ほどで少子化と文具の電子化で低迷が続く業界です。 ところが最近、駅中商業施設や都心部の最新商業施設に文房具を販売する店舗が急増しています。 もっともそうした店では、文房具とは呼ばずにステーショナリーと呼び商品もパイロットや云々といった国産文具ではなく北欧やヨーロッパなど世界各国から集めたものや日本・世界のマイスターが作製した厳選品が主です。 当サイトでも紹介した今年3月丸の内に開業した 日本郵便初の商業施設KITTEに出店した京都発の アンジェビュローもステーショナリーを中心にした雑貨のセレクトショップです。商業施設の雑貨店といえば同じく輸入雑貨を主にしたプラザやフランフランなどがありますが最近ではアンジェビュローのようにステーショナリーを中心に厳選した雑貨をそろえた店へと進化しているようです。こうした今風の人気雑貨店を英語で雑貨を意味する「ミセラニアス」をもじって「ニューミセラ」と呼んでいます。 | | 東京KITTE丸の内店は「書斎」をテーマにした文房具と本のショップ |
ニューミセラでは、ステーショナリーは単なる生活用品ではなく生活雑貨として買われ、 最寄品から買回品さらに専門品へと変化しています。これまでの輸入雑貨店と差別されるのは、販売しているステーショナリーが少数の専門職しか使わなかった物とか世界的老舗メーカーの製品であるとか新進気鋭のデザイナーや熟練の職人が創り出した物とか、とにかく大量生産均一的なイメージの物がひとつもないことです。 | 微細なむら一つない熟練宝飾職人の施した22金メッキが美しい輝きを放ちます。 その繊細な美しさで女性にも大人気の商品だそうです。日本製。 写真左:22金メッキZスタンドゴールド
写真右:22金メッキスパイラルゴールド
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それまでの輸入品は イメージ特性をやたらと強調していましたが、ニューミセラで扱うステーショナリーはイメージ特性はもちろん素材や商品の品質・完成度や耐用年数などの 物的特性にもこだわっています。ターゲットを絞り込み、いわゆるイノベーター、オピニオンリーダ的消費者層を狙うので価格の高低に左右されにくく製品差別化によって競争も激しくないといった優位性があります。 都心部商業施設で増え続けるニューミセラは年齢や性別に関係なく人気があり、最近では、デジタル書籍などの普及で集客に悩む書籍業界も集客手段の一としてニューミセラの導入を検討するところが増えているようです。 ニューミセラとは多少異なりますが都内代官山の蔦屋書店も売り場の一部をステーショナリーコーナーにして集客に成功している店舗例です。同じような売場づくりを試みても失敗する店舗も多いようです。 当サイトでもお馴染の銀座吉田も銀座で幾つもビルを所有してビル経営の傍らニューミセラに商材を提供しているステーショナリー商社でもあります。2000年当時家内工業規模だったモレスキンのノートブックに目を付け2003年から日本総代理店として輸入して日本で拡販し有名にしたのは銀座吉田さんです。 レシーフなどデザイナーブランドのペンを輸入して百貨店や高級文具店などの既存売場ではなく都心のアパレルセレクトショップやインテリアショップで売り始めたのも銀座吉田さんです。ニューミセラの仕掛け人といえる会社です。 商品名:カラーベビープレスボールペン 価格:4500円(税込4950円)
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「文具によく精通したスタッフがいない店は、最初は他店の品揃えを真似て開店しても結局は素人づくりの売場に終わる店がほとんどです。代官山蔦屋書店のように成功しているお店は、計画時に日本一の筆記具コーナーづくりを目指してスタッフも文具に精通した販売経験豊富な人材を採用しています。そうした水面下の努力が、売場ができてから1年以上経ってもお客様が絶えないリピータの多い売場になっている理由だと思います。」 ニューミセラの仕掛人、銀座吉田の山野昌之さんは、ニューミセラ導入の成否についてそう答えてくれました。 |