1972年、マリー=エレーヌ夫人とギーロスチャイルド(ロスチャイルドフレール銀行頭取)は、夫妻の住居フェリエール城でシュールレアリスム舞踏会を開催した。
フランスロスチャイルド家の祖、ジェームズロスチャイルドが、従兄弟の英国バッキンガムシャーの城、メントモアタワーズの建築家ジョセフパクストンに「大きさを倍にして同じものを建てろ」と命じたというフェリエール城は19世紀最大最高の豪華な城である。
この伝説の舞踏会でオードリーペップバーンは、鳥籠の仮装で現れた。
映画「ローマの休日」でデビュー、悲恋のヒロインを演じて大女優への道を歩んだオランダ人といっても、ただのオランダ人ではない。ナチス幹部だった父親ジョゼフ・ラストンをはじめとする閨閥をカモフラージュするために語られる苦労と忍耐の美談をひと皮剝がしてみよう。
彼女の母親エラ・ヘムストラは、ヨーロッパ長者番付一位の英国エリザベス女王に次ぐ蘭国ベアトリックス女王に繋がる貴族ヘムストラ男爵家の娘。
祖父は、略奪を指揮したオランダ領ギアナ総督のアールナウド・ヘムストラ男爵。つまり、ロスチャイルド閨閥に連なるシェル石油利権一族であり、ヘップバーン自身、ロイヤルダッチシェルの大株主である。
オードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)の本名は、父親姓でオードリー・ラストン(Audrey Kathleen Ruston)。改名後、エダ・ヘムストラ(Edda Hepburn van Heemstra)である。
その家系を辿れば、忌まわしい略奪の歴史が浮き彫りになる。映像に登場する国連難民救済大使としての彼女の姿は、自身の忌まわしい血統に立ち向かう姿だったのかもしれない。ロスチャイルド閨閥で雁字搦めになった逃げようがない運命。シュールレアリスム舞踏会の鳥籠の仮装は、「わたしは籠の鳥」だというオードリーの権威に対する無言の皮肉だったのではないだろうか。
日本では、秋篠宮家長女の結婚問題が話題になっている。
映画「ローマの休日」は、ペップバーン演ずる世間知らずのお姫様がグレゴリー・ペックとの恋に落ちるが、最後には二人の恋を思い出に宮廷へ戻るという悲恋物語として名作になったが、お姫様が庶民になってエプロン姿で夕飯でも作っていたら名作にはならなかっただろう。
人は誰しも運命を背負って生まれる。天皇家に生まれた運命。自分にとって、良いこともあれば悪いこともある。それは、人間誰しも同じだ。ただ、日々生きることに必死な庶民からすれば、お姫様と代わってほしいと思う日本人は無数にいるだろう。
「ローマの休日」のアン王女は運命から逃げずに感動を呼んだ。
日本のお姫様はどうするのかな?