<ご質問>セリアック病はグルテン摂取と無関係ですか? セリアック病というのはグルテンを食べるとなるのではなくセリアック病の人がグルテンを食べると体調が悪くなるもので、日本人にはあまり関係のない病気だと聞きましたが本当でしょうか?
間違いです。 小麦製品、乳製品、大豆製品などの蛋白質には人の消化酵素では完全に分解できない物質が含まれています。セリアック病は未消化蛋白物質に対する免疫反応がきっかけで生じる免疫介在性疾患による内臓組織炎症を繰返すことによって罹る病気です。又、小麦などのグルテン蛋白物質の胃で消化分解されないアミノ酸鎖が小腸の繊毛に損傷を与えます。人によっては、グルテン食品を日常的に摂取することによって、そうした炎症と損傷が何度も繰り返され、遂には深刻な組織損傷に至り小腸が正常に機能しなくなりセリアック病になります。セリアック病は、蛋白質を完全に消化できない体質の人が偏ったグルテンの日常的摂取をすると罹る病気です。 イラストは小腸の絨毛が損傷を受けて炎症をくりかえして死滅した状態を描いています。絨毛が機能しないため正常な栄養素吸収ができなくなるセリアック病と呼ばれる不治の病です。 健康な人は栄養素が小腸の絨毛から吸収されて血液に入ってゆきますが、セリアック病の人は慢性的な炎症で絨毛が破損しているので、ほとんどの栄養素を血液に取り込むことができません。こうなると一生完治することはありません。 日本人にはあまり関係のない病気かどうかというご質問ですが、小麦製品の流通量も少なく誰もが日常摂取できるような食市場環境がなかった戦前には、大方の日本人は小麦製品を日常的に摂取するようなことはなく、確かに日本人の罹患率は非常に少ない病気でした。しかしながら、ご存知の通り、戦後の小麦・乳製品・牛肉などを主にした米国式食生活がスタンダードになった日本では、年間600万トン以上の小麦が消費され他の麦類も加えると実に大量のグルテン穀物が消費されています。 今や米国人よりも米国人らしい食生活を送る日本人。食市場では無数のグルテン含有製品が流通し多くの消費者は摂取リスクについての情報認識がないままパンや麺などの様々なグルテン製品を日常的に摂取し続けています。このような食市場の状況下、急性の小麦アレルギーと異なり遅性のため自分でも気づかないうちにグルテン過敏症やグルテン不耐症やセリアック病になっている人の数が年々増加しているのは必然的な結果だと思います。日本人の場合、10人~15人に1人の割合でグルテン過敏症やグルテン不耐症で、そのうちの10%ほどの人がセリアック病ではないかと推察されています。 ※注:グルテン不耐症、セリアック病などの患者数は1970年代に、それまでの20倍に跳ね上がり、欧米では、急増した遅性アレルギーが大きな食品問題になりました。その原因は1960年代に人工的突然変異でつくられた「モダンウィート( modern wheat )」の摂取だと欧米の多くの科学者が主張しています。人類は、何千年も昔から小麦パンを食べてきました。昔から小麦による急性アレルギーも、グルテン不耐症のような遅性アレルギーもありました。近年、どうして急に、小麦パンなどの麦類食品の日常摂取が危険であると多くの科学者が警鐘を鳴らしているのかというと、現代人が摂取している麦食品がほぼ全てモダンウィートを原料にしているからです。つまり、1960年以前の古代からの小麦とそれ以降の現代小麦(モダンウィート)とはまったく異なる麦だということを理解してください。 | 慢性的な便秘の原因は小麦? 確かに慢性的な便秘は小麦の日常的な摂取が主原因の一つだと言われています。Wheet Bellyの著者ウィリアム・デービス博士が以下の記事でブログ読者の話を掲載しているので参考にしてください。・・・続きを読む |