保険金詐欺説
タイタニック号沈没にまつわる陰謀論で多いのが、ホワイトスターライン社が所有していた2隻の船、タイタニック号とオリンピック号をすり替えた保険金詐欺だったという説です。
しかし、たった数百億円の小金目当てなんてチンピラの泥棒稼業じゃあるまいし… 仮にそうだったとすると、その陰謀説は大きな矛盾にぶつかります。
ご存知でしょうか?この事故でアメリカの大富豪だった有名な3人の米国ロスチャイルドファミリーと1人の英国ロスチャイルドファミリーが死亡しました。
建国以来、アメリカ経済支配システムの構築を進めていたロスチャイルドにとって、支配システムに不可欠な4人を失うことは大きな痛手でした。
タイタニック号を所有していたホワイトスターライン社もロスチャイルド企業群の一つとなり、社長ジョセフ・イズメイもタイタニックの処女航海に乗船していました。
つまり、天文学的な富をもたらすであろうロスチャイルド米国経済支配システムに不可欠な4人のファミリーを、たった数百億円のためにロスチャイルドが自ら殺害したことになり、船会社の社長までわざわざ沈む船に乗せたことになります。
当時から、すでに世界有数の富を握り彼らに敵う者などこの世にいないといわれるほどの金融マフィアになっていたロスチャイルドが、たった船一隻のために、そんな間尺に合わないことをするでしょうか。
歴史を紐解くと、こうした不可解な出来事の前後には大きな歴史的な出来事が連鎖しています。
1912年タイタニック沈事故前後の歴史的な出来事といえば、1907年金融恐慌(panic of 1907)。1913年FRB連邦準備理事会設立。1914年第一次世界大戦が勃発です。
その真相を史実が話しかけてきます。それが聞こえるかどうかはあなた次第です。
今回のお話しを始めましょう。
アメリカの三大富豪の死
1865年に南北戦争が終わってから約半世紀経った1912年。アメリカはWASPが米国経済を支配する発展途上にありました。
ヴァンダービルト、ロックフェラー、フォード、カーネギー、モルガン、メロン、デュポン、ハリマンなど の財閥が犇めくアングロサクソンプロテスタント白人権力集団。
20世紀初頭、多くのアメリカ人はワスプがアメリカ経済を支配し発展させていると確信していました。
そんな1912年4月14日の夜、
・・・ーーー・・・トントントンツーツーツートントントン
SOS SOS SOS SOS SOS SOS SOS SOS SOS
1906年のベルリン会議で、CQDからSOSに変更された遭難信号が、タイタニック号に搭載されたマルコーニ式電信機から、世界で初めて打電されました。処女航海中の巨大不沈船、豪華客船タイタニック号からの遭難信号でした。映画『タイタニック』が大ヒット。結末はご存知のとおりです。
下の写真はタイタニック号に乗船していた当時のアメリカの3大富豪です。
ホテル王のアスター、デパート王のシュトラウス、鉱山王のグッゲンハイムです。
グッゲンハイムだけは単身で乗船していましたが、アスターとシュトラウスは夫婦同伴でした。当時のアメリカを代表する3富豪は全員ロスチャイルド家を核にしたロスチャイルド閨閥に名を連ねるロスチャイルドファミリーでした。
更に、当時の乗船名簿には、三人の英国ロスチャイルドファミリーが乗船していたと記録されています。M・ロスチャイルド夫妻とマーティン・ロスチャイルド卿夫人の3人です。
シュトラウス夫人以外の三人の夫人は救出されましたが、シュトラウス夫人と3人の富豪とM.ロスチャイルドの5人はタイタニック号と共に海底に沈みサメの餌食となりました。
気がつけば、自分たちに対峙する強大な勢力に成長していた赤い楯に脅威を感じていたWASP金融マフィア集団にとって、巨大な3つのアメリカの赤い楯と1つのイギリスの赤い楯が同時に消滅した沈没事故は、正直胸をなでおろす出来事だったかもしれません。
ロスチャイルドの秘蔵っ子
さて、時間を80年ほど戻しましょう。
時は1837年。ちょうど、アメリカの五大財閥の一、モルガン財閥創始者ジョン・ピアポント・モルガンが誕生した年。石油王ジョン・デイビソン・ロックフェラー・シニアが生まれる2年前
J. P. Morgan 1837-1913
John Davison Rockefeller, Sr 1839-1937
フランクフルトのロスチャイルド商会に勤めていた24歳のオーガスト・ベルモントは、密命を帯びてニューヨークへ旅立ちました。当時のロスチャイルド商会の秘蔵っ子であったベルモントへの密命は、「新興国アメリカの経済をロスチャイルドが支配するためにWASP勢力に気づかれずにアメリカでロスチャイルド閨閥を形成せよ」という命令でした。
ベルモントはロスチャイルド家の期待どおりの働きをして、日本人には黒船来航騒動でお馴染のマシュー・C・ペリー提督の娘との結婚を手始めに、WASPのヴァンダービルト家やモルガン家との血縁をも結び、アメリカ国内において、ロスチャイルド閨閥を巧みに延々と拡げてゆきました。
Matthew Calbraith Perry 1794-1858
ベルモントの約半世紀に及ぶ米国ロスチャイルド閨閥形成活動によってWASP権力集団の主力の一つだったジュニアス・スペンサー・モルガン商会も、ユダヤ人嫌いの初代J.P.モルガンが72歳の時、1909年、二代目J.P.モルガンの代で、欧州金融の王者ロスチャイルドと合体することになりました。
ロスチャイルドの投資銀行、モルガン・グレンフェル商会の誕生です。
アメリカの産業基盤を築いた男たちも年老い二代目への交代が始まった20世紀初頭。一見、WASP権力集団が完全に経済支配しているように見えていたアメリカ経済の裏では、半世紀以上前から、秘かに米国ロスチャイルド閨閥形成活動が一時も途切れることなく続いていました。タイタニック沈没事故で死んだ3富豪も、その活動に尽力していました。
モルガン・グレンフェル商会(投資銀行モルガン・グレンフェル・アンド・カンパニー)という最強のマーチャントバンクの暗躍によってタイタニック号船主のホワイトスターライン社も既に買収されてロスチャイルド金融権力集団企業群の一つになっていました。(後のモルガングレンフェル銀行は1989年にドイツ銀行に買収され社名は消滅)
つまり、沈没したタイタニック号は、ロスチャイルドが本国イギリスから、経済支配目前の新天地アメリカへ向って処女航海に送り出したロスチャイルド財閥の発展を象徴する船だったのです。
表面的には、アメリカ白人金融資本権力集団が支配しているように見えていた20世紀初頭のアメリカの裏で、ロスチャイルドは着実にアメリカ経済支配体制を築き上げていました。そこに起きたタイタニック号沈没事故。この事故によって、ロスチャイルドの米国経済支配体制に大きな亀裂が生じました。
大国への道を動き始めた産業国家アメリカ経済の支配を争う米国白人アングロサクソンプロテスタント金融資本権力集団とロスチャイルド金融資本権力集団との激しい攻防戦の最中に起きたタイタニック号沈没事故。
既に莫大な富を手にして、さらに天文学的巨万の富が手に入るアメリカ経済支配を目前にしていたロスチャイルド。そのロスチャイルドが、ファミリーの要人を何人もタイタニック号に乗せて殺して船一隻分、数百億円を詐取したというのは合理的ではありません。
では、事故の真相は?
まことしやかに囁かれている一つは、
「事故で死亡したアメリカの三大富豪が翌年開設された民間中央銀行(FRB)開設に反対していたのでロスチャイルドが暗殺を謀った」
という推測です。
保険金詐欺よりも造詣が深くて面白いのですが、残念ながら史実をこじつけただけのうわさ話です。
アメリカロスチャイルド経済閨閥の三大富豪がFRB設立に反対したという事実はありません。さらに、仮に暗殺を謀ったのであれば3人の英国ロスチャイルドファミリーが乗船した事実が矛盾します。
今のところ、合理的で説得力のある陰謀説は見つかっていません。
ロスチャイルドを核とする英国金融資本権力集団とロックフェラー、モルガンを核とする米国金融資本権力集団。
二つの金融マフィアが、現在の混然一体となった閨閥集団形成の初期、つまり、20世紀初期。二つの金融マフィアが対峙していたのは間違いないでしょう。しかし、説明できるような陰謀が見つかっていないのも事実です。