古代エジプトから5000年以上の間、発酵させて焼き上げるふっくらしたパンは小麦粉で作るのがあたりまえでした。 小麦粉はデンプンとタンパク質を含み、イーストが生地に含まれた糖分を炭酸ガスとアルコールに分解して、炭酸ガスがタンパク質のグルテン組織に入って風船のようにパン生地を膨らませます。グルテン量が多い順に強力粉、中力粉、薄力粉となります。 日本では、2009年までグルテンを含まない米粉でふっくらしたパンは作れないというのが常識でした。 米粉の成分は、でん粉とアミロースとアミラーゼでグルテンは含んでいません。煎餅のようなものは焼けても、ふっくらした柔らかいパンは焼けません。 それなら米粉にグルテンを混ぜればいいと思われるでしょう。 その通りですが、それが簡単な話ではないのです。 ふっくらしたパンを焼くには、小麦粉と同じような微細な米粉を製造する技術と米粉に配合する相性の良いグルテンが必要でした。 すべてのグルテン粉の中から粉の性質や焼き上がるパンの食感を推理計算して選びブレンドしなければなりません。 先ずは米粉の粉砕技術です。 小麦粒に比べて米粒はとても固いので大きさ・形・質を均一に粉砕して微細な米粉を製粉する粉砕技術の開発が必要でした。 世界中のパン職人にパンの神様と崇められているレイモン・カルベルに師事しカルベル氏から日本人唯一の弟子だと認められた福盛幸一さん。 今では日本のパンの神様と呼ばれている福盛さんが、2009年に、加水して気流粉砕する方法、加水気流粉砕製法を完成させ、大きさ・形・質を均一に粉砕して微細な米粉を作るのに成功しました。 この微細米粉製粉技術が完成したことによって、小麦粉パンを超えるふっくらもっちりした米粉パンを製造することが可能になりました。 食パン・フランスパン・クロワッサンなどが米粉を使ったもっちりした新食感の今までになかった美味しくて一度味わうと病みつきになるパンに生まれ変わりました。 こうして福盛さんが完成させた福盛さんンと米粉を使い、福盛さんの指導の下、福盛さんと三洋電機が共同開発して2009年に発売したのが日本初の「米粉パンのホームベーカリー」でした。 三洋電機が『ゴパン』を発売する前年のことでした。 |